【現地レポート② / 男子 1 回戦】リバウンドの苦みを知ったライジングゼファー福岡 U15 のこれから
2025年1月4日
リバウンドを制する者がゲームを制する――バスケット界で言われ続けている格言です。それは中学生にも十分当てはまります。
「京王 Jr.ウインターカップ2024-25 2024年度 第 5 回 全国 U15 バスケットボール選手権大会 (以下、京王 Jr.ウインターカップ2024-25)」の男子 1 回戦。第 3 回大会で優勝した経験のあるライジングゼファー福岡 U15 (当時の表記はライジングゼファーフクオカ U15) が対戦したのは金沢学院クラブ U15 です。金沢学院クラブ U15 は、2024年 8 月におこなわれた「第54回全国中学校バスケットボール大会」でベスト 4 に入った、金沢学院大学附属中学校が母体のチームです。
実力伯仲のゲームは、前半を金沢学院クラブ U15 の 3 点リードで折り返します。
ライジングゼファー福岡 U15 の鶴我隆博ヘッドコーチは、しかし、その時点でリバウンド面での危惧を抱いていました。
「金沢学院クラブ U15 のリバウンドを一番警戒していたのですが、前半のスコアは僅差だったものの、うちのディフェンスリバウンドが 4 で、向こうのオフェンスリバウンドが 9。つまり相手が落としたシュートのうち 3 分の 2 を金沢学院クラブ U15 が取っています。その数字で、ハーフタイムでのスコア、私たちの 3 点ビハインドは考えられません。私たちのシュートが入りすぎているだけだろう。このままでは後半に圧倒されてしまう。後半の勝負のポイントはリバウンドだと選手たちには伝えました」
しかし、後半になってもその展開は大きく変わりません。いや、むしろ鶴我ヘッドコーチの悪い予感が当たってしまいます。金沢学院クラブ U15 はシュートが落ちてもオフェンスリバウンドでセカンドチャンスを作っていき、一方のライジングゼファー福岡 U15 は、前半のようにシュートが決まっていきません。
最終スコアは金沢学院クラブ U15 の得点68に対して、ライジングゼファー福岡 U15 のそれは50です。
最終的なリバウンド総数はお互いに39本ですし、オフェンスリバウンドに限って言えば、実はライジングゼファー福岡 U15 のほうが多く取っています。それをスコアに結びつけられたかどうかが最終的な勝敗を分けるのですが、鶴我ヘッドコーチの言葉を借りれば、「金沢学院クラブ U15 は前半と同じことをやり続けてきました。そういう面でも力的に金沢学院クラブ U15 のほうが上だったのだろうと思います」。
本数の結果にかかわらず、リバウンドに飛び込み続けた金沢学院クラブ U15 と、それを止められなかったライジングゼファー福岡 U15。その意識と徹底が18点の差になったのです。
リバウンドを取るためにはポジションファイトをし続けなければいけませんし、いち早くボールに反応もしなければなりません。それらは選手個々の身体能力もさることながら、やはり日常の練習や試合でどこまで意識し、徹底できるかでしょう。2 度、3 度と競り合いながら、粘り強く “ もぎ取る ” 経験も必要です。
ライジングゼファー福岡 U15 は、県大会を含めてそうした経験ができていなかったと鶴我ヘッドコーチは認めます。1 度目のリバウンド争いでボールを取れていたからこそ、2 度目、3 度目の争いになったとき、リバウンドを取りきれなかったというわけです。
これもまたひとつの経験であり、財産です。敗れたライジングゼファー福岡 U15 の選手たちが、1 本のリバウンドを取るために、今後どれだけのポジションファイトと反応速度、そして粘りを見せることができるか。
3 年生にとっては中学生活最後の全国大会は苦い結果に終わりましたが、下級生を含めて、来年度以降に向けた良薬になるはずです。B ユースの強豪チームでもあるライジングゼファー福岡 U15。きっとここからまた這い上がってくることでしょう。