【現地レポート⑨ / 男子準決勝】悔しさを知った期待のホープ――四日市メリノール学院中学校 #34 白谷柱誠ジャック
2025年1月7日
悔しさを知ることで踏み出せる一歩があります。
「京王 Jr.ウインターカップ2024-25」の男子準決勝。大会連覇を狙える位置にあった四日市メリノール学院中学校 (三重) は、エースの #34 白谷柱誠ジャック選手が、男女を通じて大会史上 1 試合最多得点となる54得点を挙げました。しかし #34 白谷選手自身が「自分は得点よりも勝利がほしかったです」と言うとおり、63-80 で琉球ゴールデンキングス U15 に敗れてしまいます。
今年度の四日市メリノール学院中学校は、「全国中学校バスケットボール大会」の準決勝こそ少し苦しめられましたが、それ以外は、今大会のこれまでを含めて、対戦相手を第 1 クォーターから圧倒していました。その中心にいたのは、もちろん #34 白谷選手ですが、彼以外にも #86 青井遙臣選手や #57 仲見優汰選手らが力をつけてきていました。絶対的なエースがいるとはいえ、チーム力もトップクラスだったと言えます。
しかし、この日は琉球ゴールデンキングス U15 の厳しいディフェンスに、#34 白谷選手以外の得点が伸びていきません。得点だけでなくペイントアタックにも行けない状況に、指揮を執る山崎修ヘッドコーチも「中学生活最後の大会ですし、ジャックに『全部、自分で行っていい』と言いました」と認めます。#34 白谷選手自身も「絶対に負けないという気持ちで、最後の 1 秒まで諦めずに挑み続けました」。ベンチからのゴーサインと #34 白谷選手の気迫が、3 ポイントシュート 8 本を含む54得点につながったと言えます。
山崎ヘッドコーチはこうも言います。
「チームを強化という側面だけで見れば、今日のゲームも勝ちようはあったかもしれません。しかし強化と育成という両面から考えたとき、ジャックに悔しい負けを経験させることも私の仕事だと思っています。だから終盤、逆転が難しいかなと思ったときに、ジャックが悔し涙を流せるようなシチュエーションを作ったつもりです」
最後まで攻め続け、シュートを打ち続ける #34 白谷選手。しかし攻める選手が 1 人に絞れれば、相手チームは守りやすくなります。しっかりとポジションを取ってペイントエリアへの侵入を防ぎ、気の急いた 3 ポイントシュートが外れれば、琉球ゴールデンキングス U15 の191センチ、#56 友寄快星を中心にリバウンドをもぎ取ります。
思うようなプレーができない #34 白谷選手は、第 4 クォーターの残り 9 秒でファウルアウトをしてしまいます。直後の相手のフリースローの 1 本目こそ、山崎ヘッドコーチのに声をかけられ、ベンチ前でコート上のチームメートに声をかけていた #34 白谷選手。しかし 2 本目はベンチに座って顔を覆っていました。その真意を問われ、こう答えます。
「今までみんなと楽しくやってきたので、もう一回、メインコートに立ってみんなと優勝を目指したかったです……」
それまでいくつかの質問には気丈に応えていましたが、思いがチームメートに及ぶと、言葉が詰まります。
今大会の最注目選手と言っていい #34 白谷選手の「京王 Jr.ウインターカップ2024-25」連覇の道は途絶えました。しかし明日は 3 位決定戦があります。
「明日は中学生活最後の試合なので、みんなで笑顔で終わりたいと思っています」
漫画『SLUMDUNK』に「『負けたことがある』というのが、いつか大きな財産になる」というセリフがあります。準決勝での負けを大きな財産にするべく、#34 白谷選手と四日市メリノール学院中学校は、明日の 3 位決定戦から次の一歩を大きく、そして力強く踏み出します。