【現地レポート⑩ / 女子総評】女子は京都精華学園中学校が大会連覇を達成も、道はまだ続く
2025年1月8日
「京王 Jr.ウインターカップ2024-25」の女子の戦いが終わりました。優勝は京都精華学園中学校 (京都①) です。第 1 回大会、第 2 回大会で四日市メリノール学院中学校 (三重) が達成した大会連覇を、彼女たちも達成したのです。
HOOPS4HOPE (千葉) との決勝戦を 88-50 で勝利した京都精華学園中学校のキャプテン #4 谷口娃咲選手は言います。
「この大会が近づくにつれて連覇の重圧がかかってきたんですけど、自分たちがこれまでやってきたことは嘘じゃないと思うし、それを決勝戦の舞台でも思い切り出せたと思います」
指揮を執る山本綱義コーチは、同高校の指揮も執っています。そのため年末は「SoftBank ウインターカップ2024」に出場しており、しかもそこで優勝もしているので、最終日まで不在にしていました。つまり中学生たちはコーチ不在のなかで、押し寄せてくる大会連覇の重圧と戦っていたのです。それでも選手同士で「ここはこうしたほうがいいんじゃないか」など、みんなでコミュニケ―ションを取りながら、今大会に臨んだと #4 谷口選手は振り返ります。
もちろん193センチの #18 オディア カウェル リッツ選手がいることは彼女たちにとって大きな強みであり、安心材料でもあったでしょう。しかし、彼女たちも発展途上の中学生です。重圧に押しつぶされそうになることもあったはずです。それをみんなで乗り越えて、大会連覇を達成したことは、その事実以上に価値あるものだと言えます。
同時に、京都精華学園中学校は「京王 Jr.ウインターカップ」の 3 連覇を目指せる位置にも立ちました。#4 谷口選手はそのプレッシャーがかかる後輩たちに向けて、こんなメッセージを残します。
「後輩たちも新 3 年生らしさというか、私たちとは違ういい持ち味があるので、3 連覇にとらわれすぎないで自分たちのかたちをしっかりと作って、頑張ってほしいです」
後輩たちにそんな思いを託すのは、優勝した京都精華学園中学校だけではありません。HOOPS4HOPE の #13 田原莉桜選手も、後輩たちにエールを送ります。
「自分たちはオフェンスが特別うまいというわけではないのですが、ディフェンスをものすごく頑張ってきました。来年もディフェンスからしっかり守って、リバウンドまでしっかりとって、来年は優勝してほしいです」
たんぽぽバスケットボールクラブ (埼玉) や四日市メリノール学院中学校など、全国的な強豪チームを50点台に抑え込んできた HOOPS4HOPE。決勝戦こそ88失点をしてしまいましたが、それまでの彼女たちのディフェンス力は、間違いなく全国トップクラスだと言っていいでしょう。それを後輩たちがどのように受け継いでいくか。準優勝チームもここからリスタートです。
そんな先輩たちの思いを受け継ぐ側にも、すでに意志は固まっています。
決勝戦に先立って行われた 3 位決定戦で、粘る北九州市立菊陵中学校 (福岡) を振り切って、銅メダルを獲得したのは四日市メリノール学院中学校です。2 年生ガードの #8 安井穂香選手は「最後は 3 年生の底力でチームを勝たせてもらって、それが何よりもうれしかったです」と言います。
一方で、大事なところでのシュートを決めきれなかったり、パスミスをしてしまったと自身の反省も口にします。
「今大会を通じて小さなミスをなくしていくことが大事だと感じたので、試合のなかの大事な場面でのシュートミスやパスミスなどを減らしていきたいです」
スタメン出場しながら 3 年生たちを目標の日本一に導けなかった悔しさを来年こそは晴らそうと、すでに心に決めています。
「Jr.ウインターカップでは私自身の表情が暗かったり、よい顔をしてプレーできていなかったから来年は表情を明るくして、楽しみながら、全中 (全国中学校バスケットボール大会) も Jr.ウインターカップも優勝したいです」
HOOPS4HOPE や四日市メリノール学院中学校など、優勝した京都精華学園中学校以外は、どこかで悔しい負けを経験しています。しかしその悔しさ、苦い思いこそが彼女たちの財産です。次のステージでも、バスケットボールを楽しみながら、それでいて今大会で味わった思いを少しでも昇華させられるか。それこそが彼女たちの人生をより豊かなものにしていくでしょう。
彼女たちの「京王 Jr.ウインターカップ2024-25」は終わりましたが、バスケットボールを追求していく道は、これからも続いていきます。